レジェンドのレシピの言う通りにしなきゃ損!『プロの味が最速でつくれる!オチアイ式イタリアン』
定価:1,760円
発売日:2024年2月280日
発行・発売:ダイヤモンド社
判型・体裁:B5判(24.2 x 18.2 x 1.1 cm)、112ページ
2023年2月28日に発売になったばかりなのに、またたく間に重版になって3万部越え!
初版4000部ということも珍しくない令和7年にあって、しかも毎年、7万1000冊以上の新刊が出る(2019年・総務省統計局)中、重版率はその1割とも2割とも言われるのに3万部越えの快挙。
料理本業界では久しぶりの明るい話題だった。
目次
あの名著の流れをくむから!
そんな『プロの味が最速でつくれる!落合式イタリアン』は、必ず「予約のとれない」という枕詞つきで語られるイタリアン・レストラン「ラ・ベットラ・ダ・オチアイ」のオーナーシェフ、落合務さんによる9年ぶりの著書だ。
落合シェフの本といえば、2014年に出たあの名著『「ラ・ベットラ」落合務のパーフェクトレシピ』(講談社)がまず思い浮かぶ。
冒頭からシェフが話しかけてくるような長い文章で始まり、パスタの基本、パスタをおいしく食べるまでが詳細に解説され、すべてのレシピについて調理プロセスが見開きで展開されるという、大変に丁寧な解説書だ。
出版されたのが10年前とはいえ、SNSをやってもいないプロの料理人による本だ。当然ながら映えなど意識もしていない。にもかかわらず、ずっと版を重ね、2023年には10万部を越えている。
そのくらい力のある本だ。
私自身もこの本を何度も読み、パスタの作り方を覚えておいしく作れるようになった。
それだけでなく、『ホテルニューオータニ監修 本当に旨いスパゲッティの作り方100』(イカロス出版)という本を作るきっかけにもなった。
だから落合シェフの新刊が出るというならば「買い」だし間違いない! と発売日初日にSNSでぶつやいtところなんと、ダイヤモンド・オンラインで書評を書かせていただく機会に恵まれた。
→「プロが本気で「家庭料理」に向き合ったらどうなる…? 手早く無駄のないノウハウの集大成」
そんなわけなので、本書のおすすめポイントは記事を読んでいただくことにして、こちらでは、ダイヤモンド・オンラインの記事では書ききれなかったことを記録していこうと思う。
え、あんなに長い記事なのに、まだ書くことあるの?という声が聞こえてきた。
そう、3000字以上書いたけれどもまだ言いたい、言い足りない。なぜならば…。
むやみやたらな「時短」レシピではない
まず言いたいのが、世間でイメージするところの「時短レシピ」ではない、ということ。
いや、ギリギリまで手間は省いているので、王道のイタリア料理からしたら時短ではあるし、プロではない人が家庭のコンロで作ることを想定しているので、それなりの工夫も新発想も盛り込んでいる。
例えばそれが、トマトの水煮缶ではなくトマトジュースを使用したり、乳化がうまくできないであろうことを考えて、オイルパスタではすりごまを加えるといったようなものだ。
しかし、ワンパンパスタは一切でてこない。パスタゆで用の鍋がいるし、フライパンも使う。
チューブのにんにくも使わないので、ちゃんとみじん切りにする必要があるし、なによりオリーブオイルは大さじで使う。昨今のカロリー減に対応したレシピとは言い難い。
けれど、60年も第一線でイタリア料理界を牽引してきた人だ。
おいしさを求めるならば、やっぱり無条件にいうことを聞くべきだろう。
構成が完全に家庭料理向け
さらに言うならば、プロの料理本なのに家庭向けレシピだから、「人生ベスト10」や「イタリアンおかず」「まかない飯」「副菜」といった章が並ぶ。
前述の「パーフェクトレシピ」ですら、コース料理の順にレシピが並んでいたのに、である。
この並びがとても親しみやすいのだ。
とりあえず1章の「落合式イタリアンの原点」とする10品を作れるようになっておけば、パスタも、主菜も、アンティパストもデザートもマスターできる。
しかも作り方はすべてのレシピが3ステップになり、「パーフェクトレシピ」と同様、工程写真がきちんと添えられていて、落合シェフが「ぜったいにやってね」というコツがじっしり書き込まれているのだ。
書かれていることばのすべてがお飾りではないのがすごい。
(デザイン上、スペースを埋める、もしくは他ページと同じフォーマットにするために「ここに何か入れてね」とデザイナーから指示されて入れているわけではない、という意味)
なんか徹底している、と感じるのだ。
ここまで言われたらちゃんとやって、ちゃんとおいしく作ろう、ちゃんと味わおう、という覚悟すら芽生える。
世の中にパスタ好きは多いが、なんちゃってでワンパンにして手間を減らし、別の何かで旨みを足して、でも塩分やオイルは極限まで減らすのではなく、本場の味はそのままに、「からだによくて、早くかんたんにできて、何しろおいしい」と「はじめに」に書かれている通りになっている。
尊いではないか。
さらに言えば、真っ赤な表紙カバーのデザインも、読みやすく整理された本文紙面デザインも、おいしそうな写真も、余計な装飾を一切は省いたお皿だけにフォーカスしたスタイリングも、すべてが美しいと思う。
この制作陣と編集センスがすごいと思う。
同業者としてあちらこちらに注目してしまった本だ。
著者プロフィール
(本書より)
落合 務(おちあい・つとむ)
「ラ・ベットラ・ダ・オチアイ」オーナー
1947年生まれ。17歳で料理の道に進む。19歳でホテルニューオータニに移りフランス料理を学び、その後洋食レストラン「トップス」へ。28歳のときにフランス旅行の帰路でイタリア料理の素晴らしさを知り、その後2年8か月間、イタリア各地で修業。日本に帰国後、1982年に東京・赤坂のイタリア料理店「グラナータ」の料理長に就任。1997年7月に東京・銀座で「LA BETTOLA da Ochiai」をオープン。たちまち予約の取れないレストランとなり、日本イタリア料理界の先駆者として知られるようになる。イタリアから「カヴァリエーレ章(勲三等)」「イタリア連帯の星」勲章(OSSI)などを受章。平成25年度「卓越した技能者(現代の名工)」、令和2年「黄綬褒章」受章。現・日本イタリア料理協会名誉会長。
スタッフ
装丁・本文デザイン: 藤田康平+前川亮介(Barber)
撮影: 中島慶子
スタイリング: chizu
取材協力: 白江亜古
校正: 円水社
協力: 落合 剛、木越敦子(オチアイ・トレンタオットブレ)
編集: 和田泰次郎
目次
「落合式イタリアン」が最高な理由
はじめに
これだけはそろえたいイタリア料理食材
column 落合務の半生Ⅰ
1章 僕の人生ベスト 落合式イタリアンの原点!
1位 思い出の野菜パスタ
2位 ディアボラチキン
3位 和風バーニャカウダ
4位 スペアリブの煮込み
5位 トマトの冷製パスタ
6位 シンプルリゾット
7位 レモンバターのピカタ
8位 落合式タルタル
9位 たっぷり野菜のミネストローネ
10位 落合式ティラミス
2章 最高のパスタ 何度作っても絶対においしい
パスタの基本
すりごまのアーリオ·オーリオ
かんたんボンゴレ
ひとりぶんジェノヴェーゼ
トマトジュースの濃厚パスタ
ボスカイオーラ
アマトリチャーナ
もちのクリームパスタ
うに風トマトクリームパスタ
全卵カルボナーラ
落合式ナポリタン
かんたんボロネーゼ
焦がしバターの明太パスタ
3章 イタリアンおかず いつもの食卓を格上げする!
イタリアンカツレツ
落合式サラダチキン
親子フリッタータ
ストラチェッティ
自家製サルシッチャ
ボルベッティ
イタリアンハンバーグ
豚のタリアータ
ベーコンとなすのカポナータ
ボリート
column 落合務の半生Ⅱ
4章 まかない飯 ぱぱっと作れてうまい
ラ·ベットラのトマトカレー
もちベシャメルのグラタン
イタリアンチャーハン白
イタリアンチャーハン赤
ピッツァイオーラごはん
カチャトラ丼
5章 副菜一皿 野菜ぎらいの僕が大好きな味
なすとズッキーニのアーリオ·オーリオ
ブロッコリーのアーリオ·オーリオ
ゆでズッキーニ
落合式ポテサラ
玉ねぎのビネガー炒め
なすのハーブマリネ
トマトマリネのカプレーゼ
目玉焼きのせオムレツ
いかと玉ねぎのフリット
豆とパスタのどろどろスープ
チーズポテトフォンデュ
焼きパプリカのマリネ
イタリアンピクルス
6章 ドルチェ 幸せな食後を約束する
レモンティラミス
パンナコッタ
プリン
落合式モンブラン
プルーンの赤ワイン煮
おわりに
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